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グレープフルーツで血圧を下げる薬の効果が強く出る話

注意事項「お薬手帳」に

今回は、食べ物とののみ合わせで薬の効果が強く出るお話です。
「毎朝、あなたはグレープフルーツを食べたりグレープフルーツジュースを飲みますか」―。「はい」と答えた方は、これから話すことを真剣に聞いてください。
注意事項「お薬手帳」に 実はグレープフルーツジュースと高血圧、狭心症の治療薬であるカルシウム拮抗(きっこう)剤の「ニフェジピン」「ニカルジピン」「ニトレンジピン」「ニソルジピン」「ベラパミル」などを一緒にのむと、これらの薬の作用が強く出ます。
具体的にどうなるかというと、まず血圧が下がり過ぎ、心拍数が増えます(ドキドキの回数が増える)。そしてめまい、ふらつき、頭痛、顔面紅潮(顔がほてる)等が起きます。「好きなグレープフルーツを食べられないの」「ずらして食べればいいんじゃない」と思うでしょう。しかし、残念ですが、これらの薬をのんでいる人は、食べたり飲まないようにしましょう。これらの薬のなかには、グレープフルーツの影響を八時間ぐらい受けるものもあるのです。
なぜか。まず薬の代謝について簡単に説明します。
人間の体は、のんだ薬がそのままの形(薬として効果がでるかたち)でいると、今回のように効果が強く出過ぎたり、体の中に蓄積しますので、肝臓でいろいろな酵素によって「薬でないかたち」や「害のないもの」にどんどん変えてしまうようになっています。そしてある一定時間が過ぎると、ほとんどの薬は、尿、便、汗、呼気、乳汁などで体の外に出されます。
今回のやっかい者は、グレープフルーツ特有の苦味成分であるフラボノイドが問題であることが分かってきました。グレープフルーツに含まれる苦味成分のフラボノイドが今回取り上げた薬の解毒酵素チトクロームP450-CYP3A4という酵素の仕事を邪魔するのです。その結果、先ほど話したような薬をのみ過ぎた症状が出るのです。
このほか不眠症治療薬「トリアゾラム」「ミダゾラム」、抗アレルギー薬「テルフェナジン」、免疫抑制剤「シクロスポリン」抗HIV薬「サキナビル」なども影響を受けます。効き過ぎによる症状は、先に説明した高血圧、狭心症の治療薬であるカルシウム拮抗剤とは、当然違います。かかりつけのお医者さんや薬剤師にご相談ください。ちなみにオレンジジュースは、やっかい者のフラボノイドが含まれていないので大丈夫だそうです。
高血圧、狭心症の患者さんへ。今、あなたが飲んでいる薬がグレープフルーツジュースと一緒にのんでよいか、いまいちど確認をお願いします。