せき止めをのんだら手が震え止まらない―と訴えてきた人の話
2011年7月19日 | 健康コラム
予期せぬ症状 必ず確認
突然、薬局にこんな電話がありました。
「手が震えて止まらない、助けて―」
よく聞いてみるとお医者さんからもらった風邪薬をのんで手が震え出したということでした。
お医者さんは、風邪の症状に合わせて数種類の薬を処方します。
ばい菌を殺す抗生物質、のど・鼻の炎症を抑える消炎酵素剤、熱や痛みを取る解熱鎮痛剤(熱さましや痛み止め)、鎮咳(ちんがい)剤(せき止め)、たんを切る去痰(去痰)剤などです。
今回、問題になる薬はせき止めです。
せき止めにもいろんなタイプがあります。せき中枢をブロックするタイプや気管支を広げるタイプなどさまざまです。
手が震える原因になった薬は、気管支を広げてせきを止める薬、気管支拡張β2刺激剤の塩酸ブロカテロールでした。
もともと、このタイプのせき止めは、気管支を広げる反面、心臓にも働いて、どうきがする、脈が速くなる、また指先がビリビリする、手足が震えるなどの症状が出やすい薬です。
この症状は、個人個人で感じ方が違います。また全員が出るわけではありません。
この患者さんは、手が震える症状が強く出てしまったのです。のむことをやめ、この薬を処方してくれたかかりつけのお医者さんに相談し、違うタイプのせき止めに変更して問題は解決しました。
最近、このタイプのせき止めは効果が期待できるのでお医者さんは、よく使っています。
風邪をひいてせきが出た時、このタイプのせき止めをのむ機会が多くなります。風邪で体調が悪いから、手がカタカタする、どうきがする、指先がビリビリする、と勘違いしている方も多いようですが、のんでいる薬によって普段と違うどんなことが起きるのか、どのような予期せぬ症状があるのか必ず確認しておくことが大事です。
そんなときも服薬の記録や服薬中の注意事項が記載できる「お薬手帳」が役に立ちます。薬局薬剤師に記載してもらいましょう。